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精密研磨・洗浄技術 -凝集砥粒(ぎょうしゅうとりゅう)-

光学ガラスなどの硬脆材料(※1)、から、ポリカーボネート(PC)樹脂などの軟質材までの幅広い材料に対して、これまでトレードオフの関係にあった高品質と高効率の研磨を同時に実現した新たな砥粒技術です。また、研磨中は、化学溶剤を用いることなく少量の水だけで加工できるため、廃液排出が大幅に抑制できる環境にやさしい技術です。
(※1)、
非常に硬い素材ですが、衝撃に弱く割れやすい素材の総称です。ガラスや石材、セラミックスなどが該当します。

凝集砥粒とは

凝集砥粒とは、ナノスケール(百万分の1ミリメートルサイズ)の酸化物微細粒子(図1A)を、バインダー(接合剤)を使用せずに凝集結合させてミクロンスケール(千分の1ミリメートルサイズ)の大粒径にした球状砥粒です(図1B)。加工点を担う微細粒子同士の結合力(凝集力)を制御することで、砥粒が加工点で自発的に摩耗し、新しい加工点が連続的に形成されます。これは、従来にない画期的な砥粒です。

図1 凝集砥粒SEM観察図

凝集砥粒の加工メカニズム

図2は凝集砥粒を研磨フィルムの形態で使った際の加工メカニズムの模式図です。まず、図2(A)のようにPETフィルムに接着材で凝集砥粒を固定しています。この凝集砥粒はミクロンスケールの大粒径のため、接着材から突き出ています。加工初期は、加工点が少ないので、高い圧力となり、高加工能率が得られます。加工進行に伴い、次第に図2(B)に示すように砥粒が自発的に磨耗し、形状が変わっていきます。ここで、加工物(Workpiece)と接する各加工点では、ナノスケール微細粒子が研磨を担っていますので、切り込みは微細化されていき、かつ、常にリフレッシュされるので、高品質な研磨面を実現することができます。また、加工物の切り屑も共に排出されることで、目詰まりが回避され、安定した研磨特性が得られます。つまり、目詰まりすることなく、粗目(高効率)砥粒から細目(高品質)砥粒までの機能を一枚のフィルムで同時に実現させています。図3は実際の研磨時における凝集砥粒の観察写真です。

図2凝集砥粒加工メカニズムの模式図

図3 凝集砥粒の加工時のレーザー顕微鏡観察写真

凝集砥粒の加工事例

図4は平面研磨機にて、光学ガラスBK7基板(φ150)を研磨した事例です。加工方式としては、凝集砥粒フィルムを研磨機の定盤に貼り付け、純水200ml/minを供給しています。フィルムを取り替えることなく粗さ2μmRtから、30nmRt以下の光学鏡面に仕上げられました。

図4 BK7光学ガラスの鏡面仕上げ事例

凝集砥粒の用途拡大

本技術の特長である凝集力を適切に制御すれば、大きな加工キズを与える前に、砥粒の自発的な磨耗を発生させることができます。これにより鏡面仕上げの用途は硬質な光学ガラスから軟質材料にも広がります。

図5は、凝集力を制御した幾つかの異なる砥粒種類を示しています。

研磨力を若干弱めることで、ウロコ(水あか)のついてしまった鏡の洗浄に使えます。この場合、研磨力も併せ持っているため細かなキズなら消していくことができますから、傷つき古ぼけていた鏡を新品のような光り輝く鏡にすることも可能です。さらに弱い力で崩壊させれば金属の研磨として、ウロコ(水あか)のついてしまった蛇口の洗浄も可能ですし、もっと弱い力で崩壊させれば、樹脂の研磨として、白化や黄変など劣化してしまった車のヘッドライトの洗浄も可能です。

図6は、アクリル樹脂塗装膜(クリア層)を凝集砥粒で研磨し、蛍光灯の反射像を見た事例を示しています。反射像の鮮映性が向上しています。これは、塗装膜の表層にある塗装のうねり(柚子肌)が抑制され、平滑な面となることで光沢性が改善された結果です。

このように、研磨分野のみならず、母材にキズを付けずに、表層の汚れを除去する、いわば表面洗浄まで用途が拡大できると考えています。

図5 凝集砥粒の種類とその想定した用途

図6 アクリル塗装膜の鮮映性向上の事例

本技術の分類:分野別「汚染予防」「精密加工」