クリーン空調の範囲を大幅にコンパクト化した感光体の生産ライン。設備投資と環境負荷を大幅に削減することができました。
複写機やプリンターに使われる感光体の生産プロセスでは、ほこりの少ないクリーンな状態に保たれた空間で感光体を取り扱う必要があります。従来の大型ラインでは、クリーン空調に使用する広いスペースが必要で、クリーン度を保つエネルギーも大きく、投資面、環境面ともに負担となっていました。
そこで、リコーグループは、数十本の感光体をパレット上に並べて生産する従来ラインの発想を根本から見直し、1~2個流し方式を導入し、局所的にクリーン空調を行う生産ラインを開発しました。これは、感光体生産プロセスのうち、洗浄工程、塗工工程、乾燥工程を小型ブース化し、それを1セットにした構造です。
使用エネルギーが大きかった熱風による乾燥工程も見直し、IH加熱方式による乾燥技術を開発し、乾燥時の立ち上げ時間とエネルギーの大幅な削減に成功しました。
その結果、ライン長1/6、設備スペース1/16*、クリーン空調容積は1/92という超小型の感光体生産ラインが完成し、設備投資コストも約1/3になりました。
* 単位生産能力あたり設備スペース比
図2:感光体コンパクト生産ライン外観