一般的に、ステレオカメラとは、左右に並べられた2台のカメラの視差情報を利用して、前方の対象物の奥行き情報が得られるカメラのことをさします。
図1:ステレオカメラによるモノクロ輝度画像(左)と距離画像(右)*の例
(* 被写体までの距離を色の違いで表しています。)
ステレオカメラの精度を高めるためには,2つのカメラの光学的な歪みや機械的な組み付けなどによって発生するズレを補正し、かつ2つのカメラを平行等位状態にする必要があります。リコーは、今まで蓄積してきた、高精度に光学特性を評価する光学技術、その光学特性を正確に補正する画像処理技術、そして高精度に組み付けを行う実装技術を結集することで、独自のキャリブレーションシステムを構築し、従来にはないステレオカメラの高精度化を実現しました。また、画像処理と視差演算処理を、全てステレオカメラ内部に最適な形でハードウェア化したことで、高精度な三次元出力をリアルタイム、かつ高速に出力することができます。
FA(ファクトリーオートメーション)、物流、セキュリティなどの産業分野ではシステムの自動化が加速しており、カメラにより自動で三次元情報を取得する必要性がますます高まっています。リコーのステレオカメラでは、システム構築可能な精度と速度を確保した汎用性の高い三次元ビジョンを提供することで、お客様の困りごとの解決に貢献します。
図2:産業用ステレオカメラ
工場では、部品が箱にバラ積み状態で納品されるため、それを工場のラインにのせる際に一つ一つの部品をベルトコンベア上に整列させています。現状では、人がこの作業を行っているケースが多いですが、図3に示すようなロボットピッキングによる自動化が求められています。ピッキングを自動化するためには、ロボットはバラ積み状態の部品の位置を正確に認識する必要があります。
リコーが開発した高精度なステレオカメラを用いることで、部品の正確な位置を認識することが可能になり、安定したロボットピッキングシステムを構築することが可能になります。また、本ステレオカメラでは高速に部品の三次元情報を取得できるため、ロボットの動きを止めることなく連続動作を実現することができます。
図3:ロボットピッキングシステムに使用する利用イメージ